(Photo from Dusty Strings website)
以前「年齢関係なし!大人にオススメな楽器5選」という記事で、『アイリッシュハープ』をピックアップしたのですが、それがきっかけでこの楽器に関心があるかたが多いことに気がつきました!
アイリッシュハープは日本ではまだまだ珍しい楽器です。今回は、アイリッシュハープ とはどのような楽器なのかをゆるりとまとめようと思います。
これからアイリッシュハープ を始めたいかたや、もう少し詳しくこの楽器を知りたいかたに向けて、何回かに分けて書いていきますね♪
関連記事:革新的なアイリッシュハープメーカー、Dusty Strings(ダスティストリングス)
Contents
『アイリッシュ・ハープ』とは?
グランドハープとの違い
まず ”ハープ”と聞いて思い浮かべるのは、オーケストラで演奏されているあの大型な楽器かと思います。こちらは『グランドハープ』といって弦が47本のタイプが主流です。
足元にある7本のペダルを踏み分けて音を移調させる構造なので、「ペダルハープ」とも呼ばれます。ボディは約180cmほどで、かなり大型です。
一方『アイリッシュハープ』はグランドハープよりも小型で、弦は24〜38本程度(34弦タイプが主流だと思います)です。
各弦上部に設置されているレバーを手で上下させることで半音調整します。そのため「レバーハープ」や「ノンペダルハープ 」とも呼ばれます。ボディは約100〜120cm程度です。(メーカーによってもレバータイプのハープは呼び名が異なります。)
グランドハープよりもサイズが小さいことから、子供がアイリッシュハープから習い始めて、その後グランドハープに移行するなんてこともあります。
アイルランドの国章はハープ!
アイリッシュハープは「ケルト音楽」で演奏されてきた歴史が長く、”スコティッシュハープ”や”ケルティックハープ”とも呼ばれています。
なかでもアイルランドでは国章やパスポートにもハープ が使われいて、ダブリン発の有名な黒ビール”GUINNESS”のロゴにもなっていたりと、とても身近な存在と言えます。
東京MX「明日どこ!?」の大使館を訪れるシリーズでアイルランド大使館が特集されていました。動画のなかでアイリッシュハープ が紹介されています(動画11分ごろから)。ケルティックハープ奏者の松岡莉子さんが演奏されていますね♪
アイルランドの国章はハープ ですが、楽器を国章に用いてる唯一の国なのだそうです。短い番組ですが内容が濃く、とてもおすすめです。(大使の経歴が凄かった(笑)リポーターもとても面白いかたですね!)
弾ける楽曲ジャンルも幅広い!
現在では、ケルト音楽だけでなく様々なジャンルのアーティストがいて、クラシック、ポップス、タンゴやジャズなど幅広く楽しめる楽器であることがわかります。こちらのハープ奏者YouTuberは、AdeleのHelloをカバーしていますね!素敵です。
日本ではアイリッシュハープの名称で呼ばれることが最も多いのですが、Youtubeで動画検索するときは、”Harp music” や ”Lever harp” など、他のワードで探してみると目的の動画を見つけやすかったりします。
ちなみに”ハープ”の起源は古代エジプトだそうで、人類最古の弦楽器と言われています。遥か昔から人間の生活とともに進化してきた楽器なんですね。エジプトのハープ楽曲もYouTubeにあるので、ぜひ検索してみてください♪
”癒し”の音
初めてアイリッシュハープを弾いた時に驚いたのは、弦をはじいて音が響いた瞬間、ふと穏やかな気持ちになったことでした。
楽器の習得は楽しいけれど、上達を目標にするとなかなか疲れる作業でもあります。自分の音に嫌気がさす瞬間が多いのです。予期せず「キーー」という不快な音が鳴ったり、いつまでたっても苦しそうな音が出たり(笑)
アイリッシュハープは音楽療法でも使用されることがあるそうですが、この優しく穏やかな響きを聴き納得しました。
アイリッシュハープ のメリット
アイリッシュハープのメリットを挙げるとすれば、この5つだと思います。
- (意外と)手に入れやすい
- 管理しやすい
- 運搬しやすい
- 上達のスピードが早い
- ボランティア演奏の機会が得られる可能性が高い
1.(意外と)手に入れやすい
以前こちらの記事でも書きましたが、大人から楽器を習い始めるなかで大切なのは練習しやすい環境を整えることです。アイリッシュハープ は意外と手に入れやすい楽器なのでおすすめです。
レンタルサービスを提供している販売代理店もあるので、検討しやすいかと思います。私も始めたばかりのころは数ヶ月間レンタルし、その後は教室の運営するハープ 練習スタジオを利用していました。
けれどスタジオレンタル代がだいぶかかってしまい、「これなら買った方がいいな」ということで購入しました。レンタル→練習スタジオ利用、という間に自分にどのメーカーのなにが合うかをしっかり調べました。(お勧めなメーカーについては別記事にまとめます。)
新品のアイリッシュハープ の平均価格は20〜30万円台です。「高い!」と思うかたもいらっしゃるかもしれません。でも、お話した販売店のかたは「30年は使えるよ」とおっしゃっていました。(メーカーや購入後の保管状態によって耐用年数は異なると思うので、ご購入前にどの程度なのか聞いてみるのが良いと思います。)
また、探せば中古も結構見つかります。「フリマアプリやオークションはお勧めしない」と先生には言わていたのですが、私はそのようなサイトを通して中古品を購入したことがあります。
中古なのに製品状態を直接見ることなく購入したので「何かあっても自己責任かなぁ」と、ある程度覚悟はしていました。幸い特に問題はありませんでした。新品を購入するのがベストですが、予算によっては中古という選択肢もあると思います。
2. 管理しやすい
小型なので場所を取らず、日本の住宅事情にあっていると思います。たまたま上に貼ったフリーフォト素材を見つけたのですが、この部屋の中にアイリッシュハープが隠れています。馴染んでいますね(笑)
また、弦の張り替えも自分でできるので、慣れたらケアも楽だと思います。(これは私の楽器の紹介とともに別途まとめます)
3. 運搬しやすい
アイリッシュハープはその形状・重さによっては、公共交通機関で運ぶこともできます。メーカーによってサイズや重さがバラバラなので、車以外での持ち運びが難しい製品もあります。運搬に関してはご自身の先生や楽器販売担当者など実際に弾いている人に相談してみるのがベストです。
また、購入したハープが持ち運べるサイズであっても、混雑した車内やホームなどは他のお客さんの迷惑にもなるし危険だと思いますので、混雑時間帯は避ける必要があります。
私は26弦のアイリッシュハープを購入したとき、受け渡し場所から最寄り駅までケースのショルダーを肩にかけて歩いて運び→電車に乗って家まで持ち帰りました(8kgとはいえ重かったので、よくバンドマンがギターをコロコロ引いているような台車を用意すべきだったな、と少し後悔しました)。
この時、乗り換え駅の構造や比較的空いている日時を事前に調べ、受け取りスケジュールを決めました。アイリッシュハープは小型とはいえ、やはり大きい楽器の仲間です。移動には事前の下調べや周囲への配慮が必要です。
4. 上達しやすい
アイリッシュハープ は何歳でも始められる楽器です。知人の教室には70代後半から始めた生徒さんが80代の今も楽しんでレッスンに通われているそうです。
また、私は小指が人よりも短く力も入りにくい悩みがあります。このせいで今まで様々な楽器を工夫して弾く必要があったし、エレキベースにいたっては全く抑えられず小指は使わずに弾くしかありませんでした。
私のように手が小さい悩みを持つかたは多いと思います。その点、ハープは奏法として小指を使う必要がないので、ユーザビリティが高い楽器だと言えます。
また、アイリッシュハープ はピアノと同じ譜面(ト音記号・ヘ音記号)なので、ピアノ経験者はスムーズに習得できるでしょう。
5.ボランティア演奏の機会が得られる可能性が高い
人前で演奏することは上達のスピードアップにもつながります。アイリッシュハープ でボランティア演奏をする話をよく耳にします。持ち運びしやすく、演奏に場所も取らないから適しているのかもしれませんね。
ただ、コロナの影響で、ボランティア演奏の機会は当面の間無いだろうと知人は言っています。この事態がおさまるまでは、自己練習に励む時期ですね。
アイリッシュハープ のデメリット
ここまでメリットを紹介しましたが、敢えてデメリットを3つ挙げてみます。
1.レバー操作のため、弾けない曲もある
各弦に付いているレバーを上げ下げして音を半音変化させる構造上、急に全体が転調する楽曲の演奏ができません。後半にサビがドラマティックに転調するような楽曲がありますが、ああいった演出することは難しくなります。
そんなに高速にレバーを上げ下げできるものでは無いと思います(もしかしたら、そのような演奏ができる猛者が世界のどこかにるのかもしれないけど)。その点グランドハープは足元のペダルの操作なので、弾ける楽曲の幅はアイリッシュハープよりも格段に広いです。そこはグランドハープのメリットかと思います。
2.プロフェッショナルが少ない
(これは特にデメリットという訳でも無いのですが…)アイリッシュハープ のプロはかなり少ない状況です。
非音大卒のかたがグランドハープ を習っていたら上達して、結婚式場でウェディングプレイヤーとして活躍するようになったなんてこともあるのですが、アイリッシュハープ でウェデイングプレイヤーの機会を得た話は聞いたことがありません。
海外のアイリッシュハープ奏者のInstagramで、ガーデンウェディングやパーティで演奏しているポストを何度かみたことがります。今後日本もそうなって行くのかも?
アイリッシュハープは日本ではまだ珍しい楽器ですが、自由度の高さが特徴です。敷かれたレールを進むのではなく、ご自身で新しい道を築く楽しさがあるかもしれません♪
3. 耐用年数が30年程度かもしれない
先ほど少し触れましたが、ハープの寿命・耐用年数が30年程度の可能性があります。「30年以上使えるよ」とおっしゃるかたもいるので、ハープの種類や保存状態によっては長く使えるのかもしれません。ただ、私個人としては約30年くらい使えるもの、と認識することにしました。木造で30本以上の弦の張力が毎日のようにかかり続ける訳なので、やはり劣化はするだろうと思ったのです。
この約30年という楽器の寿命をどう捉えるかは人によると思います。質の良いバイオリンは自分の子供や孫と代々受け継いでいけるので、ある意味資産になることもありますよね。ハープはそのようには行かないかもしれません。ということで、私のハープもいずれ買い替えどきが来るはずなので、少しずつ貯金をしています!
オンラインレッスンについて
最近は自宅でオンラインレッスン(Skype/Zoom)を受講しています。アイリッシュハープ はオンラインレッスンにとても向いている楽器です。
オンラインレッスンに対応している教室も増えていると思うので、ぜひお近くの教室の体験レッスンなどで問い合わせてみてください。
追記:ハープを弾く芸人さんがいる!
まとめ
いかがでしたか?
アイリッシュハープは意外と手に入りやすく、そして大人から始めるのにもおすすめな楽器です。少しでもご興味をもたれたかたは、ぜひお近くのハープ教室を探してみてください♪
また時間を見つけてアイリッシュハープ の紹介をしていこうと思います♪