Photo from NS Design website
エレキバイオリンは、表現力が幅広く、実はとてもコスパの良い楽器です。
クラシックだけでなく、ロックやダンスミュージック、ジャズなど、楽曲ジャンルも選びません。エフェクターを繋げば、音をひずませたり、リバーブをきかせて響かせたりと、エレキギターのような使い方ができます。
でも、エレキバイオリンには大きなデメリットもあります。それは、情報が少ないわりに楽器の選択肢が幅広すぎて、どれを買えば良いのかわからないことです。
メーカーやデザインも豊富で、価格も数千円〜40万円を超えるものまでさまざま….。
私自身、理想の楽器を見つけるまでに数年かかりました。みなさんにはそんな苦労をしてほしくない!ということで、エレキバイオリンを10年以上所有して弾きまくってきたライターが、超詳しく解説します!
エレキバイオリンとは?
そもそも「エレキバイオリン」て、普通のバイオリンと何が違うのでしょうか?
エレキバイオリンとアコースティックバイオリンの違い
エレキバイオリン(英語でElectric Violin)は、その名の通り電気によって音を出すバイオリンです。そのため「電子バイオリン」とも呼ばれます。エレキバイオリンとアコースティックバイオリンの大きな違いは、楽器本体で音を共鳴させるかどうかです。
一般的なアコースティックバイオリンは木製で、ボディの内側に空洞がありますよね。そこで音を共鳴させています。アコースティックギターとエレキギターの違いをイメージするとわかりやすいです。
エレキバイオリンに搭載されている「ピックアップ」というパーツが、弦の振動を拾い、電気で音を増幅する仕組みです。
エレキバイオリンは外部音源から音を出す
エレキバイオリンは、「外部音源」から音を出します。エレキバイオリン本体とアンプなどの機材を、シールド(両端にジャックの付いたケーブル)で繋いで、機材側から音を出力します。
本体にヘッドホンジャックが搭載されているモデルの場合、直接ヘッドフォンを繋いで音を聞くこともできます!
エレキとアコースティックの中間「エレアコ」
エレキとアコースティックの中間にあたる「エレアコ」仕様のバイオリンもあります。本体はアコースティックバイオリンと同じ形をしていますが、ピックアップがボディの内側に組み込まれています。
木製のボディなので、ナチュラルな音を楽しめるのがメリットです。
YAMAHAのサイレントバイオリン=エレキバイオリン
よく「ヤマハのサイレントバイオリンはエレキバイオリンじゃないの?」という疑問を耳にします。
サイレントバイオリンは、YAMAHAのエレキバイオリンの商標です。つまり、サイレントヴァイオリン=エレキバイオリンと言えます。
名称に「サイレント」が付くだけあり、本体から鳴る音量が小さめで練習用として人気ですよ。
エレキバイオリンの用途
エレキヴァイオリンは、こんなシーンで使えます。
・夜間の練習用
・ライブハウスやスタジオでの演奏
・エフェクターで音色を変えて楽しむ
・専用機材やソフト(オーディオインターフェイス・DAW)でDTMに使う
使用シーンは幅広く、ひとりでも存分に楽しめちゃいます。
家ではヘッドホンから音を出して練習していますが、たまにスタジオの個人練プランを利用して、アンプから爆音で音を出しています。
エレキバイオリンの選び方
エレキバイオリンは、用途によって重視するポイントや選び方が変わります。
自宅での練習用に選ぶ
家で楽器の生音を思い切り出せない、夜間も練習したい、そんな人にもエレキバイオリンはおすすめです。
エレキバイオリンはアコースティックバイオリンと比較すると、楽器本体がら鳴る音はかなり小さめです。
ただし、「エレキバイオリンは深夜にも弾ける」という記述をたまに見かけますが、それは住環境によると思います。エレキバイオリンの弦を弓で弾いて、本体から自然に出る音の大小の感覚は、個人差があります。私個人としては「テレビの音よりは小さいけれど、思ったよりも大きい音が出る」という印象です。
ちなみに楽器店のスタッフさんに聞いた話では、私が所有している楽器(NSデザイン・CRシリーズ)の本体から出る音は小さめで、YAMAHAのサイレントバイオリンに近いそうです。
家での練習用には、YAMAHAのサイレントが◎
練習用のバイオリンとしてエレキバイオリンが欲しいなら、一般的なアコースティックバイオリンに形状が近いモデルを選びましょう。変形デザインモデルのエレキバイオリンは、日常の練習にはあまり向きません。
練習用としてエレキバイオリンを選ぶなら、ヤマハのサイレントヴァイオリンがおすすめです。形状や重さもアコースティックに近いですよ。
ビオラの音域も出したいなら5弦以上
一般的なバイオリンの弦は4本ですが、エレキバイオリンの中には5弦以上のモデルがあります。5弦目は「C線(弦を指で押さえい状態の開放弦で「ド」)」です。ビオラの音域まで出せるので、ビオラ音域の低音まで楽しみたいバイオリン中級者以上の人におすすめです。
ちなみに私はクラブミュージック好きの重低音フリークですが、4弦タイプのエレキバイオリンを使用しています。メロディラインやアレンジを入れる程度なら、4弦タイプで充分満足できますよ。
デザインで選ぶ
デザインでエレキバイオリンを選ぶのもアリです!
エレキバオリンの最大のメリットは「デザインのカッコよさ」にあります。ボディで音を共鳴させないので、デザインの自由度が高く、個性的なモデルがたくさんありますよ。
私はメーカー「NSデザイン」特有のヘッドレスのデザインに一目惚れしてしまいました。NSデザインのエレキバイオリンは、プロフェッショナルがライブで使用することも多いですよ。
体に固定できるタイプは長時間使う人、複数楽器を演奏する人に◎!
最近、体に固定するタイプのエレキバイオリンが話題です。バイオリンメーカー「WOOD Violins 」の「Viper Classic」は、体にエレキギターのようなストラップで固定します。
なんとこのバイオリン、肩当てがないんです!肩と顎でバイオリンを挟まず体に固定できるので、ハンズフリーになります。演奏途中にコーラスを入れたり、他の楽器や機材をいじれます。
DJや複数の楽器を演奏するマルチインストゥルメンタリスト(マルチプレイヤー)にピッタリです。
クロサワヴァイオリン新宿店(新宿エレクトリックバイオリン&ベース)があったころ、店舗にViper Classicの取り扱いがありました。試奏させていただいて、「体に固定すると、こんなに弾きやすいの!?」とかなり驚きました。
ボディが軽いわけではないので、試奏中に少し肩がこる感じがしましたが、おそらく弾き方に慣れてくれば気にならないレベルです。まだ日本で所有者が少ないはずなので、個性的なエレキバイオリンをお探しの方にも最適ですよ。
すっかり気に入ってしまったので、今後購入するかもしれません。個人的に『NSデザイン』シリーズの次におすすめなモデルです。弾いているイメージ動画はこちらをご覧ください。
7万円以上のモデルがおすすめ
エレキバイオリンの中には、4万円以下で手に入るモデルもあります。なかには1万円以下で買えるものも!でも、やはり「安いものはそれなり」と思っておいた方が無難です。
以前、新品定価で約4万円のモデルを試奏したことがありますが、正直「これはライブでは使えない」と思いました。ペグの質が悪く、チューニングにかなり苦戦したのです。音にもおもちゃ感があり、ライブでは無理だなと判断しました。
どんな楽器であっても、品質と価格は比例することが一般的と言えます。さらに、価格が上がると音だけでなく使いやすさもアップすることが多いです。
その他のチェックポイント(弓・肩当てやケースなどの付属品)
エレキバイオリンには、弓やケースが別売りの場合があります。弓やケース、肩当てなど、どのパーツが付属されているのか、必ずチェックしましょう。
エレキバイオリンによっては、アコースティック用の肩当てをそのまま使えることもあります。その場合、お手持ちの肩当てを使えますね。
ちなみにエレキバイオリンにはアコースティックバイオリン用の弓を使えますよ。私は新たにエレキバイオリン用の弓を買うことなく、既に所有していたアコースティック用の弓を使用しています。
おすすめエレキバイオリン3選
ここでは、今最もおすすめの人気エレキバイオリンをご紹介します!
1. 最もベーシックで激売れ!YAMAHAのエレキバイオリン
YAMAHAのエレキバイオリン(4弦タイプ)は、アコースティックバイオリンに近い形状、10万円を切る価格で大人気です。楽器店の方とお話ししたところ「いま売れまくってるんです」とおっしゃっていました。
軽くて疲れにくい、プロのライブ用も◎
先日、YAMAHAのエレキバイオリン(4弦タイプ)を試奏しましたが、アコースティックヴァイオリンに近い形状でとても弾きやすく、重量も軽く感じました。
弦もペグで調整し、肩当てもアコースティックのものをそのまま使えます。ペグの調整もしやすいので、チューニングに困ることもありませんでした。
アコースティックに慣れている人が違和感を感じずに練習できます。音色もアコースティックに近いなと感じました。
初心者からプロまで、使う人を選ばない優秀なモデルで、今最もおすすめなエレキバイオリンです。クラシックやポップスを弾くプロのヴァイオリニストや、変形デザインのエレキバイオリンが苦手な人にぴったりですよ。
2. 練習用に最適!YAMAHAのサイレントバイオリン
ライブなど人前で演奏するよりも、家での練習用がメインの目的で選ぶ方には、YAMAHAのサイレントがおすすめです。
YAMAHA製は初心者にも扱いやすい特徴があります。オーソドックスなモデルが欲しい人も選ぶと良いでしょう。ただし、音の小ささをメインの理由で購入したい人は、一度試走して音量をチェックすると安心です。
3. ライブパフォーマンスにはNSデザイン!
ライブパフォーマンス用のエレキバイオリンとして海外で人気なのが、NS Design(エヌエス・デザイン)です。大型ライブイベントのバックバンドでもよく目にしますよ。
2018年大きな話題となったBEYONCE(ビヨンセ)のコーチェラでのライブパフォーマンスですが、バックバンドのメンバーがNSデザインのエレキバイオリンを使っていました。
NSデザインは音がずれにくい
NSデザインのエレキバイオリンには、一般的なバイオリンに必ずついている「ペグ」がありません。その代わりに、調弦する「アジャスター」が全弦に搭載されています。
このアジャスターがかなりしっかり弦をおさえてくれているのか、チューニング後に音が狂いにくいと感じました。
CRシリーズがライブパフォーマンスに最適!
NSデザインのエレキバイオリンには「CR」「NXTa」「WAV」の3種類ありますが、「CRシリーズ」が最もおすすめです。
NSデザインのピックアップは基本的に全機種高性能ですが、CRシリーズは特に優秀です。私はたくさんのエレキバイオリンを試奏しましたが、アンプに繋いだときのパワフルさは、CRシリーズが抜群です。
また、CRシリーズは音色を本体で細かく調整できるのでプリアンプも不要です。低音部・高音部どちらをどの程度強調するのか、そしてピッチカートモード、アルコモードも搭載されていますよ。
本体にヘッドホンジャックも搭載されているので、モニタリングも可能です。このヘッドホンジャック、ご自宅での練習にも重宝しますよ。
CRシリーズよりも価格を抑えてNSデザインが欲しいなら、NXTaシリーズかWAVを選びましょう。ただし、こちらのシリーズにはヘッドホンジャック、ピッチカートやアルコモードは非搭載なので、注意が必要です。
まとめ
いかがでしたか?エレキバイオリンは1台あると、楽しみが広がる楽器です。ぜひ今年は手に入れてみましょう。ちなみに関東にお住まいの方がエレキバイオリンを試奏するなら、クロサワヴァイオリン新宿店がおすすめです。取扱いブランドが国内で最も多いと思います。ぜひ足を運んでみてください。