デンマーク出身のDJ/プロデューサー Kolsch (ケルシュ)ことRune Reilly Kolsch。今や世界で絶大な人気を誇る彼は、昨年に続き2018年もTomorrowlandメインステージでプレイ。
“Melodic Techno” の代表格
彼はストリングスやオーケストラの音を繋げるなど、メロディアスなプレイを得意としている。交響曲が始まるような高揚感の中、いつの間にか4つ打ちのテクノに入り込んでいる流れに驚く。
ライブストリーミングメディアCercle企画のエッフェル塔でのLiveは、眼下に広がる夕暮れのパリの街並みとKolschのエモーショナルな楽曲が合わさり、何度見ても素晴らしい。彼の楽曲にはストーリー性を感じ、メロディラインからも日本のリスナーと相性が良いと思う。
ヒッピーの両親の個性的な子育て
Kolschの音楽のルーツは、幼少期の体験が影響しているようだ。彼はヒッピーの両親に連れられ車で旅する生活を送っていた。車のなかで新しい音楽や父親のお気に入りのカセットを聞き、成長するにつれて徐々にウォークマンで自分だけの音楽の世界に入っていった。寒冷地から暖かい南への移動は、美しい思い出として彼の中に残っているそうだ。
オペラ”魔笛”でのできごと
一方彼は、インタビューでこんなことも語っている。(※source:”RONSOME NOTES” Interview)
幼少期ドイツで祖父に、モーツアルトのオペラ ”魔笛”を鑑賞に連れて行ってもらった時のこと、アッパークラスの観客や空間に、周りから見下されているような惨めな気持ちになったのだという。レザージャケットに伸びきった髪の彼は、子供ながらに劇場で浮いていると感じたのだろう。
Kolschはオペラ”魔笛”鑑賞中に感じたこの想いを30年後に楽曲にしている。
多感な時期の強烈な印象は大人になっても残るもの。私は時折クラシックの公演を見に行くが、自分が場違いな場所にきてしまったような居心地の悪さを同様に感じたことは過去にある。最近ではクラシックの公演もカジュアル化してきてはいるが、オペラは特にハイソかもしれない。
Kolschの楽曲を車窓の景色を眺めながら聴くのが好きな私は、改めて彼の今までの人生に思いを馳せた。
soundcloud – Kolsch
<Source>
Ransome Note
https://www.theransomnote.com/music/interviews/hippies-paddies-and-sad-techno-kolsch-talks/