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ビヨンセ・Netflixライブ作品「ホームカミング 」は、全女性必見の傑作

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Beyonce Homecoming spotify
(Photo by: Spotify “Homecoming: The Live Album / Beyonce”)

社会学者・上野千鶴子さん(東大名誉教授)の東大入学式祝辞が、今日本中で話題だ。ビヨンセのコーチェラ(’18)でのライブ・パフォーマンスを収めたドキュメンタリーHOMECOMING(ホームカミング)を鑑賞しながら、上野さんの祝辞全文を読んだ時と同じ心の動きを感じていた。ホームカミングは、時に涙がでるほどの傑作だった。

上野千鶴子さん「社会には、あからさまな性差別が横行している。東大もその一つ」(東大入学式の祝辞全文)ハフポスト

 

私は、ビヨンセがDestiny’s Childでリリースした「Independent Women, Pt. 1 」から、彼女の大ファンになった。

女性アーティストの歌詞は恋愛ばかりのイメージがあった。しかし、この曲は女性の自立を強く訴えていて、「こんな曲があるんだ!」と当時ティーンだった私に深く刺さったのだった。

 

女性とブラックカルチャーの解放

ビヨンセほど女性の社会進出や権利を訴え続け、それを体現しているアーティストは少ない。彼女は自身のバックバンドを全て女性で構成するなど、常に前向きな”ガールズパワー”を生み出してきた。そして多様なシチュエーションで女性の心に寄り添う作品を多く発表している。

 

「If I were a boy」は男女間の不平等に対する悲しみを、「 Irreplaceable」は別れを決意した女性の前向きな気持ちを表現している。彼女は世界中の女性の共感を得てきた。

 

そしてドキュメンタリー「HOMECOMING」での、代表曲 「Run the world (Girls) 」 のパフォーマンスでは、以下のナレーションが入る。

 

女の子たちに身を縮めろと教える
”野望はほどほどに”と言う
”成功はほどほどに” さもないと男が逃げる
彼女たちに競争心を持たせる、仕事や成功ではなく男の関心のため
フェミニスト ー 男女間の社会的、政治的、経済的平等を信じる人 ー
(Netflix 「HOMECOMING」より引用)

 

 

このナレーションが特に、冒頭で挙げた上野さんの祝辞と重なった。祝辞を抜粋する。

女子は子どものときから「かわいい」ことを期待されます。ところで「かわいい」とはどんな価値でしょうか?愛される、選ばれる、守ってもらえる価値には、相手を絶対におびやかさないという保証が含まれています。だから女子は、自分が成績がいいことや、東大生であることを隠そうとするのです。

(中略)

女性学を生んだのはフェミニズムという女性運動ですが、フェミニズムはけっして女も男のようにふるまいたいとか、弱者が強者になりたいという思想ではありません。フェミニズムは弱者が弱者のままで尊重されることを求める思想です。
(東大名誉教授・上野千鶴子さん祝辞より引用)

 

 

アーティストと社会学者、それぞれ立場は違えど男性中心社会でもがきながら前進し続けた女性ふたりの言葉は、とても心に響くものがある。

 

 

また、ビヨンセは「HOMECOMING」内でこう言っている。

コーチェラ行きを決めた時、花冠を持っていくよりも自分たちの文化を持っていくほうが大切だった。

花冠はおそらく数年前までフェス・ファッションでよく見られた花のアクセサリーのことだと思う。「自分たちの文化を持っていく」と彼女が言うだけあり、マーチング・バンドなどブラック・カルチャーを前面に出し、こだわり抜いた演出はパワフルで荘厳。日本生まれの私にとってマーチング・バンドは身近なものではなく、映画「ドラムライン」の印象が強いのだが、あの映画のように素晴らしいパフォーマンスだった。

 

絶妙なライブ/舞台裏の構成比

ライブドキュメンタリーでは「いや、この曲はもっとステージ全体を撮って欲しい、、」「もっとアーティスト自身の映像が見たかった」など、カメラワークに不満を覚えがち。しかしこの作品は、視聴者が何を見たいのかよく考えられていて、違和感なく観ることができる。そして曲と曲の間にたまに入る舞台裏映像の構成比も絶妙。2時間楽しんで鑑賞できた。

 

ビヨンセファミリーも登場!

ビヨンセファンにとっても大切な彼女のファミリーが登場するのも嬉しい。妹ソランジェ、夫Jay-z、Destiny’s Child のふたりとのパフォーマンスも観ることができる。デスチャ3人揃っての「Say my name」とか、ヤバすぎる。

 

ビヨンセのコーチェラLIVE は伝説!

ビヨンセのコーチェラでのパフォーマンスは、「伝説の域に達した」と感じるほどにベストアクトだった。普段テクノやロックを中心に聴いていてビヨンセをあまり知らない男性の友人も、当時コーチェラのLIVE配信を鑑賞し「ビヨンセは完全にコーチェラを持っていった、凄すぎる!」と興奮気味に語っていた。

「ホームカミング」の舞台裏映像で、数ヶ月に及ぶストイックな練習風景が収められているが、一流アーティストたる凄さはこの鍛錬にあると感じた。

 

彼女の曲をあまり知らない音楽ファン、働く男女や子育て中のママなど、誰でも楽しむことができると思うこの作品。NETFLIX公開と同時にSpotifyなどのサブスクリプションサービスでも楽曲配信が開始している

 

音源も要チェック!

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この記事を書いた人

音楽・楽器演奏を愛するWebディレクター、一児の母。経験楽器はバイオリン、ピアノ、フルート、エレキベース、ハープ、DJ(CDJ/PCDJ)などなど。楽器や機材に囲まれて暮らしています。
アマチュアオーケストラやバンドに参加したり、BarやClubでDJしたり。幅広い活動を通じて出会った方々から得た知見をもとに、記事を企画・更新しています。

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