\楽譜が読めない初心者も「30日でピアノが弾ける」レッスン/

なぜカントリー・ミュージックは爆発的ヒット曲を生み出すのか

カントリーサウンドはどこか心惹かれるものだ。数十年前に発表されて以来、愛され続けている楽曲も数えきれないほどある。特にここ数年、若年層にもカントリー調のサウンドが受け入れられ、エレクトロやポップスなど多くのジャンルでヒット曲が生まれた。

カントリー・ミュージックとは何か

カントリー・ミュージックといえばアメリカの伝統的な音楽。バンジョーやフィドルなど特殊な楽器/奏法がバンドに加わることも多く、曲調から「カントリーっぽいな」と判断する人も多いのではないだろうか(私もその1人です)。カントリー・ミュージックは更にブルーグラス、カントリー・ポップ、カントリー・ロックなど多くのジャンルに細分化できる。

Dixie Chicks-Bluegrass Instrumental

カントリー界の大御所Dixie Chicks。彼女たちが演奏しているのがバンジョーとフィドル(ヴァイオリン)。バンジョーはギターに似ているが弦の本数が少なく、奏法も独特。フィドルはヴァイオリンの英名で、弾き方もクラシックとはだいぶ異なる特徴を持っている。おそらくクラシックのヴァイオリン奏者がいきなりフィドル奏法をするのは難しく、逆も然りだと思う。

カントリー・ミュージックは、アイルランドなどからの移民の白人がアメリカにもたらした音楽が起源だと言われてる。さらにカントリーは現在のロックのルーツとも言われており、様々なジャンルに浸透している。

 

Ed Sheeran”Galway girl”はアイリッシュ・ミュージックがベースだが、このフィドル奏法を聴いてもカントリーとアイリッシュには共通した部分が多いことがわかる。

 

テイラー・スウィフトの功績

カントリー・ミュージックをより若年層に身近にした功労者は、やはりTaylor Swift(テイラー・スウィフト)ではないだろうか。映画「ジュリエットからの手紙(2010年)」の主題歌でもあった”Love Story”は大ヒット、テイラーはこの楽曲を含むアルバム”Fearless”で第52回グラミー賞の最優秀アルバム賞を受賞している。

ちなみに2009年のMTV“Video Music Award”で、テイラーは”You Belong with me”で最優秀女性アーティストビデオ賞を受賞したのだが、このスピーチにカニエ・ウェストが乱入(!)。彼女の持っていたマイクを奪い「君の受賞は俺も嬉しい、けどビヨンセのビデオは最高だ!」といきなりディスったのだった。このハプニングの直後テイラーは舞台裏で泣いてしまったのだとか。19歳じゃカニエの奇行を受け止めらるわけもない。。マジで気の毒。(あ、話逸れた)

 

大ヒットアルバム”RED”でもカントリー・ミュージック楽器が多用されている。アルバムと同名曲”Red”は様々なジャンルとカントリー要素が融合され壮大な作品となっている。テラスハウスでお馴染みの”We are never getting back together”のBridge直前20秒程度、こちらも背後にカントリー調のメロディが細かく聴こえて面白い。

 

 

ダンスミュージック×カントリーミュージック

Avicii”Wake me up”もカントリー要素が強い楽曲。リリースから数年経った今でも様々な場面で耳にすることが多く、名盤として定着している。おそらくこちら” The nights”もカントリーMIXと言ってよいだろう。

 

「これはカントリーなのか?」論争が勃発した楽曲

2019年最大の”現象”と言えばLil Nas X ” Old Town Road”だろう。この曲はTikTokで火が付きビルボードの”Hot 100 chart” ”Hot Country Songs chart” ”Hot R&B/Hip-Hop Songs”に一気にランクインした。しかしその後ビルボードはカントリー・ミュージック・チャートから同曲を削除。音楽業界が昔ながらのジャンルの定義にまだ大きく縛られていることが露呈したのだった。音楽のジャンル分けが難しくなっているのは、同曲のように業界が楽曲ジャンルを決める前にバズってしまうことも要因のようだ。(ちなみにこの曲、ビートメイカーがNine Inch Nailsの”34 ghosts iv”をサンプリングして作ったビートを使用しているんだとか)

Lil Nas X は世代的にも言えるがネットに精通しており、バズらせる技術に長けている。彼は自身のSound Cloud同曲に「#Country」のハッシュタグをつけているが、数多存在するヒップホップの競合に勝利する得策だったと言えよう。

 

心の琴線に触れるサウンド

テイラーが若年層にもカントリーミュージックをより身近なものにしてから、カントリーMIX楽曲は増えていると感じる。またこのジャンルがアイリッシュ・ミュージックがルーツにあることや様々ジャンルに派生されたこともあり、カントリーサウンドが心の琴線に触れるリスナーが世界中に多く存在することがヒットの要因なのではないだろうか。今後もカントリーMIX楽曲の勢いは続くだろう。

 

そしてちょうどこの記事をアップした本日、Billboardの”Hot Country Songs chart”を覗いてみるとJustin BieberとアメリカのポップカントリーミュージックデュオDan + Shayがコラボした”10,000 hours”がNo.1だった。こちらの楽曲はウェディングにぴったりのラブソングで、ジャスティンの妻•ヘイリーもMVに登場する。私生活とリンクする楽曲であり、リリースのタイミングもばっちり。そしてこのようなバラード楽曲であっても3分未満におさめる時代なんだなとしみじみ感じたのだった。(ストリーミングを意識すると楽曲は3分未満に抑えるのがベター、と聞いたことがある。) バズらせることも楽曲の質同様アーティストに必須の能力なんだろうな。

 

<参照>Lil Nas X’s ‘Old Town Road’ Was a Country Hit. Then Country Changed Its MindRolling Stone

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この記事を書いた人

音楽・楽器演奏を愛するWebディレクター。経験楽器はバイオリン、ピアノ、フルート、エレキベース、ハープ、DJ(CDJ/PCDJ)など。楽器や機材に囲まれて暮らしています。
アマチュアオーケストラやバンドに参加したり、BarやClubでDJしたり。幅広い活動を通じて出会った方々から得た知見をもとに、記事を企画・更新しています。

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