(Photo: Green Book Official HPより)
公開を心待ちにしていた「グリーン・ブック」を鑑賞!
1960年代、激しい人種差別が残るアメリカが舞台。
黒人ピアニストであるドクター・ドン・シャーリーは、旧ソヴィエト連邦の名門「レニングラード音楽院」で本格的に音楽を学んだ天才。常に紳士的立ち振る舞いのシャーリーだが、あまり心を開こうとしない。
一方、ナイトクラブ(コパカバーナ)で用心棒として働くトニーはイタリア系の移民。粗暴だがファミリーを愛し、ノンストップで喋り続けるジャンクフード好きの陽気なおっさん。トニーの心は常にフルオープンなのだが、基本ノンデリカシーでガサツである。通常縁のないはずのふたりがあるきっかけで出会い、シャーリーが自身のアメリカ南部コンサート・ツアーのドライバーとしてトニーを雇うことに。
シャーリーは、その才能ゆえ孤立しているが、「一歩踏み出す勇気」を常に持ちづけている。酷い差別にも冷静に立ち向かうシャーリーと接するなかで、元々は黒人を差別していたトニーも強く心を動かされていく。
正反対の性格のトニーとシャーリーの掛け合いがとても面白く、久しぶりに映画館でこんなに笑ったな、とふと思った。
※ここからは内容に触れています。
心から演奏を楽しみ、自分を受け入れてくれる観客に向けて弾いた自分色のショパン
シャーリーはいつもコンサートではスタインウェイのピアノしか演奏しないが、ある理由から ”Colored Only(白人でない者専用)”のバーに置いてあるボロボロのピアノを弾くシーンがある。選曲はショパン / エチュードOP. 25 第11番「木枯らし」(英題:Étude Op. 25, No 11 in A minor. Subtitled “Winter Wind” )。シャーリーがクラシックに対する情熱を語るシーンがあるのだが、それでこの曲を選曲したのだな、と胸が熱くなった。超絶技巧の演奏に場末のバーは大熱狂となる。直後、バーのミュージシャンも交えジャンルを飛び越えたセッションへ。映画の中でも一番印象に残ったシーンだった。
こちらがそのショパンのエチュード。ウクライナのピアニスト、ヴァレンティーナ・リシッツァのチャンネルより。彼女の演奏も素晴らしい!
シャーリーの演奏を担当した若手ピアニストKris Bowers
シャーリーを演じたマハーシャラ・アリは、本作で「アカデミー賞助演男優賞」を受賞したが、一流ピアニストの所作を完璧に身につけ自分のものにしているのが素晴らしかった。
演奏は新進気鋭のピアニスト兼コンポーザーKris Bowersが担当している。
こちらがKrisのインタビュー動画。マハーシャラ・アリがCメジャースケール(ドレミファソラシド)を3時間練習し続けたエピソードや、シャーリーがスタインウェイにこだわった理由に理解を示しスタインウェイ自体が高機能でランダムにコードを鳴らしても音色が素晴らしいといった内容を語っている。
余談だが、ロード・オブ・ザ・リングのアラゴルン好きとして、ヴィゴ・モーテンセンが演じるトニーは衝撃的だった!ヴィゴ様はこの役柄に20kg増量して挑んだとのこと。そりゃいつもと見た目が違うか。俳優って本当にすごい職業、、。
題名にさらっと入れたけど、ヴィゴのフライドチキンの食べっぷりが凄すぎて、鑑賞後KFCへ直行。いつもに増して美味しかった気がする(笑)
KFC、この映画で売り上げ伸びたんじゃないかな??